山荘編
◎質問:予約制となってますが、当日飛び込みでは宿泊できませんか?
◎回答:お客様の十分な住空間を確保するため、それと普段は私一人で対応してため、予約制を取り入れてます。当日空きがあり、対応が可能と私が判断すれば宿泊していただけますが、お断りする場合もあります。また、週に1日は仕入れのための下山日があります。その日に当たると、これもお受けできない場合があります。下山日は、予約状況や天候によるので、何曜日とは決っていません。用事があり早くから決める時もあるし、直前まで決まらない場合もあります。そういった事情があるので、宿泊には必ず予約をお願いいたします。
登山編
◎質問:バスで上がると高山病になりやすいと聞きましたが?
◎回答:はい。個人差もありますが、症状が出やすくなります。山荘が2350m、畳平が2700mあります。体調不良や寝不足で、いきなりその高度にバスで上がってしまうと身体が対応しきれなくなります。前日はしっかり睡眠をとり、水分を多めに取るよう心がけましょう。また、歩き始めはいつもよりゆっくり歩くようにしましょう。
◎質問:麓から歩く場合は、鈴蘭橋、三本滝どちらがいいのですか。
◎回答:鈴蘭橋からは距離が長くなりますが、緩やかな登りが続くため歩きやすいです。三本滝からは距離が短くなり時間が短縮されますが、急な登りがあります。時間や天候を考慮して選択してください。
冬山編
◎質問:冬のルートはどうなってますか。
◎回答:山荘までは、冬季はゲレンデ終点からツアーコースと呼ばれるルートを使うのが一般的です(ツアーコースの説明はアクセスを参照)。夏の登山道を使うこともできますが、こちらはほとんど人は入っておらず、フルラッセルを覚悟してきてください。山荘から上はほぼ夏道と同じですが、一面の雪原で何の標識もありません。
◎質問:トレースはついていますか。アイゼンだけで行けますか?
◎回答:アイゼンだけでサクサク来れる日もあるでしょう。しかし、常にトレースが付いているとは限りません。トレースがあっても、吹雪いて30分もすればトレースは消えてしまいます。冬山に入るのであれば、トレースが無くても自分で歩けるという事が必要です。スノーシュー又はワカンは必携です。使わなければラッキー、ぐらいに思いましょう。八ヶ岳や西穂などの人気ルートとは違うという気持ちで来てください。
◎質問:赤布が付いていると聞きましたが?
◎回答:ツアーコース分岐から山荘までの間だけは、赤布を付けています(山荘営業期間のみ)。10~15m間隔であります。しかし、吹雪いていたり視界不良時は十分に気を付けてください。赤布に雪が付けば、それを見つけられないときもあります。その場合は慌てずに、確実に赤布があるところまで戻り、そしてしっかり周りを探しましょう。分からないのに無闇に進まないでください。また、トレースがあるからと言って、赤布を確認せずに歩くのはやめてください。そのトレースを付けた人が、必ず山荘を目指していたとは限りません。別の方向に行く可能性もあります。必ず赤布を確認して歩いてください。もちろん地図と共に。山荘から上は何もありません。読図が必要になります。
◎質問:雪崩れはないですか?
◎回答:雪崩れはないとは言えません。雪の斜面では常に雪崩れがあるかもと考えて行動してください。コース上にも雪崩れの危険個所があります。
◎質問:冬山を初めて間もないのですが、乗鞍は登りやすいと聞きました。一人でも大丈夫ですか?
◎回答:天候が良く、雪も安定していて、他の登山者が周囲にいれば、問題なく行ける時もあるでしょう。でもそれは自分の力だけで行けたというわけではありません。ラッセル、ルート取り、天候判断、リスク管理等すべて自分でできるという自信があって初めて冬の単独行は可能となります。よく「もっとも登りやすい3000m峰」と言われたりしますが、侮ってはいけません。「ラッセル力」と「読図力」が乗鞍では必要です。入山者が少ない平日は特にそうです。最近の遭難例はほとんどが単独行の道迷いとなってます。
◎質問:冬のテント場適地はどのあたりですか。山荘周辺は可能ですか?
◎回答:山荘付近には、夏も含めてテント場指定地はありません。山荘付近には張らないでください。以前は山荘から西の鶴が沢に架かる橋の周辺や、剣が峰方面に上る夏道入口周辺が安全だと思ってましたが、2017年1月末におきた大雪崩により、それまでの常識を覆されました。山荘休業中だったので、その後の観察からの推測となりますが、富士見岳東面上部で発生したと思われる雪崩は、富士見沢を掛け降り、一部は緩やかな尾根を乗り越え鶴が沢に入り込み、車道を横切り、デブリ先端は山荘より下の標高2,300m付近にまで達したと思われます。30から40cmの木の幹が何十本も倒され、地上7から8m付近の枝も折れていたところがあります。おそらく爆風の影響もあったのでしょう。人的被害がなかったのが不幸中の幸いです。そんな事例もありますから、テント泊する場合は、ツアーコース中か出口付近の樹林帯を選んでください。コース内は他者の支障になりますから、コース外の樹林内を選んでください。そもそも、ツアーコースを登って来て、わざわざ山荘付近にテン場を求めること自体が不合理です。